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~ 愛しい人へ ~
第2章 ~ 彼を想う ~
彼氏と結婚が決まった…………。


それは、樹ちゃんとつきあって、
三度目のお正月を越した時だった。


樹ちゃんには、
なんていえばいいのかな……。


1月も少し過ぎた頃、
樹ちゃんと食事に出かけた。


下町さが色濃い雑多な街で
待ち合わせをした。


国道の交差点を渡ると、
すぐに商店街の入り口になる。


しばらく歩くと、
お好み焼きやさんが見えた。


「ほら、ありましたよ。」


わたしは、笑顔で樹ちゃんを見た。


樹ちゃんが扉を開けて、店に入った。


「いらっしゃいませ~!」


店員の威勢のよい声が聞こえた。


「ふたり、大丈夫?」
樹ちゃんが聞いた。


「はい。」


すぐに案内された。


ここのお好み焼きやさんを選んだのは、
テーブルごとに仕切りがあって、
個室のような雰囲気だから。

樹ちゃんとわたしは、向かい合った。


「何にしますか?」


「まかせるよ。」


「ミックス焼きに海鮮焼きそば、
トマトサラダ……どうですか?」


「いいんじゃない?」


店員さんを呼び止め、生ビールと
食べ物を頼んだ。


「仕事、どうですか?」


「忙しいよ~。」


ため息混じりに樹ちゃんは、即答した。


生ビールが運ばれてきた。


樹ちゃんとジョッキを合わせ、
口をつける。

「そっちは?」


「仕事……?
相変わらずのんびりです(笑)」


わたしは、樹ちゃんの会社を契約期間で終えた後、
短期の派遣で仕事をしていた。
その後、正社員になる機会があり、
現在はその会社に勤めていた。


樹ちゃんの会社とは、一駅隣りだったが、
なかなか会えず、
月に一回のデートがやっとだった。


焼かれたお好み焼きと
焼きそばが
温められていた鉄板に乗せられた。

ソースの香りが広がった。


お好み焼きを取り分け、
皿を樹ちゃんに渡した。


ふたりとも、お好み焼きを頬張った。


「あ~、うまっ!」


樹ちゃんは、ビールを流し込んだ。


「樹ちゃん。」


わたしは、呼びかけた。


樹ちゃんは、ジョッキをテーブルに置いた。


「わたしね。」


深呼吸した。


「結婚することになった。」


わたしは、樹ちゃんを見つめた。


樹ちゃんもまた、わたしを見つめた。


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