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~ 愛しい人へ ~
第2章 ~ 彼を想う ~

半年の不妊治療は、不妊治療と呼んでいいのだろうか……。
治療が実を結び、わたしのお腹には小さな命がやってきた。
担当医に
「次回の診察で問題がなければ、
産科に移ってください。」
と、言われた。
わたしが通っていた病院は、婦人科の病気と不妊治療が専門で
産科は併設されていなかったからだ。
わたしは、病院を出て、電話をかけた。
「もしもし。」
低い声……。
樹ちゃんの声で、わたしは涙がこぼれた。
「妊娠しちゃった……。」
「そうか、よかったね……。」
「よくないよ……、わたし、わたし……。」
泣きながら、ケータイを握りしめた。
「落ち着いて。子ども、望んでたんだから……。」
樹ちゃんが、わたしをなだめた。
「でも……怖くて。」
「大丈夫。」
樹ちゃんは、そう言った。
わたしは、鼻をすすりながら
「ごめんなさい……。お仕事中に。」
「大丈夫だよ。」
樹ちゃんの優しいまなざしが浮かんだ。
「また、電話するから。」
樹ちゃんはそう言って、電話を切った。
私は、少し落ち着いてから、また電話をした。
2回のコールの後、
「もしもし。」
と、不機嫌な声が聞こえてきた。
「やっぱり、妊娠してた。」
「あ、そう。」
「喜ばないんだね。」
「だって、欲しくないんでしょ。」
夫は、そう言った。
昨日、大ゲンカしたのだ。
基礎体温のグラフが高温の位置をキープし
妊娠検査薬でも陽性を示した。
夫に
「妊娠したかも……。」
と告げた。
夫は、すごく喜んだけれど
「わたし、やっぱり……産みたくない。」
と、言ってしまったのだ。
それは、樹ちゃんとのことがどうこうではなく。
元々、子どもが欲しくなかったのに、
あることをキッカケに
子どもが欲しくなったのだ。
半年の治療の間も、行きつ戻りつ……していた。
わたしが、子育てができるのだろうかと。
いざ、本当に妊娠して、わたしは怖気づいてしまった。
そして
「わたし、やっぱり……産みたくない。」
と、言ってしまったのだ。
治療が実を結び、わたしのお腹には小さな命がやってきた。
担当医に
「次回の診察で問題がなければ、
産科に移ってください。」
と、言われた。
わたしが通っていた病院は、婦人科の病気と不妊治療が専門で
産科は併設されていなかったからだ。
わたしは、病院を出て、電話をかけた。
「もしもし。」
低い声……。
樹ちゃんの声で、わたしは涙がこぼれた。
「妊娠しちゃった……。」
「そうか、よかったね……。」
「よくないよ……、わたし、わたし……。」
泣きながら、ケータイを握りしめた。
「落ち着いて。子ども、望んでたんだから……。」
樹ちゃんが、わたしをなだめた。
「でも……怖くて。」
「大丈夫。」
樹ちゃんは、そう言った。
わたしは、鼻をすすりながら
「ごめんなさい……。お仕事中に。」
「大丈夫だよ。」
樹ちゃんの優しいまなざしが浮かんだ。
「また、電話するから。」
樹ちゃんはそう言って、電話を切った。
私は、少し落ち着いてから、また電話をした。
2回のコールの後、
「もしもし。」
と、不機嫌な声が聞こえてきた。
「やっぱり、妊娠してた。」
「あ、そう。」
「喜ばないんだね。」
「だって、欲しくないんでしょ。」
夫は、そう言った。
昨日、大ゲンカしたのだ。
基礎体温のグラフが高温の位置をキープし
妊娠検査薬でも陽性を示した。
夫に
「妊娠したかも……。」
と告げた。
夫は、すごく喜んだけれど
「わたし、やっぱり……産みたくない。」
と、言ってしまったのだ。
それは、樹ちゃんとのことがどうこうではなく。
元々、子どもが欲しくなかったのに、
あることをキッカケに
子どもが欲しくなったのだ。
半年の治療の間も、行きつ戻りつ……していた。
わたしが、子育てができるのだろうかと。
いざ、本当に妊娠して、わたしは怖気づいてしまった。
そして
「わたし、やっぱり……産みたくない。」
と、言ってしまったのだ。

