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~ 愛しい人へ ~
第2章 ~ 彼を想う ~
「……、仕事に戻るね。」


わたしは、そう言って、電話を切った。


治療までして、子どもがやってきてくれたのに……。


わたしの心は、いろんなことでいっぱいになっていた。


このまま、今度こそ、樹ちゃんと終わってしまうのだろうか?


わたしが、ちゃんと子育てできるのだろうか?


ちなみに。


この子は、確実に夫の子ども……。


治療をしている時、ふと
樹ちゃんの子ども…欲しいなぁ。
と、思ったことがあった。


樹ちゃんには、子どもがいない。
奥さんと結婚する時に決めていたそうだ。
奥さんが病弱だったことも、理由だと思う。


一度だけ。
「子ども、欲しいと思ったことあるよ。
でも、あきらめたから。
もういいんだ……。」
と、言ったことがあった。


わたしは、子どもができにくい体のくせに
「樹ちゃんの子どもを産みたい。」
と、思った……。


わたしが、どんなにダメな人間でも
超えてはいけないものがあることくらい
わかっている……。


それに。


樹ちゃんとのSexは、相変わらずだったから。


間違いが起こって、妊娠することもないような……
そういう繋がり方だったから。



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