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~ 愛しい人へ ~
第2章 ~ 彼を想う ~

その後、病名は判明しなかったものの
退院することができた。
ただの風邪すらひくことができなかったので
わたしは、そのまま傷病でお休みをもらって
産前産後休暇に入った。
出産までの間、病気になることはなかったけれど。
それは。
出産の時にやってきた……。
出産後、産まれたばかりの子どもに
「ありがとう。」
と、つぶやいていた。
きっと、数か月前、高熱で
「諦めてください、」
と、言われたわが子が
無事に産まれてきてくれて、
感謝の気持ちでいっぱいだったからだと思う。
その後、わたしは、
とても寒かったし
眠かった。
「どこか変わったところ、ある?」
医師がわたしに聞いた。
「……寒いです。」
わたしは、分娩室だから寒いのだと思っていた。
医師が、血圧を計りはじめた。
「寝ちゃダメだよ!!死ぬよ!!」
と、言われた。
え?
後から教えてもらったのだが、
出産時のわたしの出血量は、1リットル以上だったそうだ。
体の血液が失われ、低体温症……。
雪山で遭難した人が、体温が低下して、
眠ってそのまま……。
あの状態とほぼ同じだったらしい。
私は、ふと
このまま眠ってしまえば……
と、思ったけれど
子どもはどうなるの?
と、思った。
出血した分と同量の輸液を点滴しながら、
夫に、とりとめないことを話した……。
お腹がすいていること。
出産が終わって、思ったほど痛くなかったこと。
ゆっくりと子どもの顔を見たいこと。
朦朧とする意識の中、
わたしは、話し続けた……。
1時間以上して、ようやく点滴が終わり、
血圧も戻ったらしく、食事の許可がおりた。
食事は、マカロニグラタンだった。
すっかり冷めてしまっていたけれど、
夫に口に運んでもらって、食べた。
今まで食べたマカロニグラタンの中で
一番おいしいかった。
生きてるんだ……よかった……。
と、わたしは感じていた。
退院することができた。
ただの風邪すらひくことができなかったので
わたしは、そのまま傷病でお休みをもらって
産前産後休暇に入った。
出産までの間、病気になることはなかったけれど。
それは。
出産の時にやってきた……。
出産後、産まれたばかりの子どもに
「ありがとう。」
と、つぶやいていた。
きっと、数か月前、高熱で
「諦めてください、」
と、言われたわが子が
無事に産まれてきてくれて、
感謝の気持ちでいっぱいだったからだと思う。
その後、わたしは、
とても寒かったし
眠かった。
「どこか変わったところ、ある?」
医師がわたしに聞いた。
「……寒いです。」
わたしは、分娩室だから寒いのだと思っていた。
医師が、血圧を計りはじめた。
「寝ちゃダメだよ!!死ぬよ!!」
と、言われた。
え?
後から教えてもらったのだが、
出産時のわたしの出血量は、1リットル以上だったそうだ。
体の血液が失われ、低体温症……。
雪山で遭難した人が、体温が低下して、
眠ってそのまま……。
あの状態とほぼ同じだったらしい。
私は、ふと
このまま眠ってしまえば……
と、思ったけれど
子どもはどうなるの?
と、思った。
出血した分と同量の輸液を点滴しながら、
夫に、とりとめないことを話した……。
お腹がすいていること。
出産が終わって、思ったほど痛くなかったこと。
ゆっくりと子どもの顔を見たいこと。
朦朧とする意識の中、
わたしは、話し続けた……。
1時間以上して、ようやく点滴が終わり、
血圧も戻ったらしく、食事の許可がおりた。
食事は、マカロニグラタンだった。
すっかり冷めてしまっていたけれど、
夫に口に運んでもらって、食べた。
今まで食べたマカロニグラタンの中で
一番おいしいかった。
生きてるんだ……よかった……。
と、わたしは感じていた。

