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~ 愛しい人へ ~
第2章 ~ 彼を想う ~
いつもより、うんと笑顔が多い。


「そっちはどう?」


松本課長が、彼に聞いた。


「まぁ……、ちょっとずつ慣れているところです。」


「お前がいなくなって、忙しくなった。」


「そんなことないでしょ。
松本さん、いるんだから。」


彼は……、もしかしたら、今の部署に来たくなかった?


彼が時々見せる複雑な表情を
わたしは、チラチラと見ていた。


仕事に集中したかったけれど、
いつもと違う彼がみたくて……。


あぁ、でも、やっぱりダメだ。


このデータ、入力しないと落ち着かない!


わたしは、PCの画面と資料を
せわしなく交互に見ながら、
データを入力した。


「お疲れさん。」


えっ?!


私の右側の視界が、変わった。


彼が……立っていた。


な、な、なんで!!


「飲む?」


彼が差し出したのは、缶に入った「いちごみるく」


「え、あ、はい……。ありがとう…ございます。」


わたしは、遠慮がちに手を出し、
いちごみるくを受け取った。


彼は、自分の持っていたいちごみるくの
プルトップを開けながら、


「なんで、ここにいるの?」


と、尋ねてきた。


「あ、下のPCがいっぱいで。」


「あ~、不具合とか起こしやすいからね。
使いにくいでしょ、ココのPC。」


「あ、まあ、ちょっと……。」


うわ、会話してる。
わたし……彼と。


「遠慮せず、飲みなよ。」


彼が、わたしが手にした 
いちごみるくを指さした。


わたしは、プルトップをあげて
一口、いちごみるくを飲んだ。


甘い……。


「仕事できるって、評判だよ。」


「え……。」


「いつもがんばってるよね。」


ウ……ソ……。


「下から内線ですよ~。小野木さん。」


篠原さんが、彼を呼んだ。


「あ、そっちいく。」


彼は、篠原さんのデスクへ向かった。


わたし





彼に……。


褒められたんだよ……ね。


いちごみるくの味とおんなじように
わたしの心の中も
あまい気持ちで満たされていった。


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