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~ 愛しい人へ ~
第3章 ~ 私を想う ~
お目当ての店は、


世界中のビールが飲めるお店だった。


以前、都内にある同じ店に行ったのだけど、


なかなかよかったので、ここにした。


お昼時間に近いからか、30分ほど並んで


ようやく、席に案内された。


座って、ふたりでメニューを見る。


いろいろな国のビールを、


ふたりであれこれ言いながら


選んだ……。


いつもなら。


食事をしながら、頭の片隅で


食事の「後の」ことを考える……。


わたしは。


樹ちゃんが好きだけど。


いつも葛藤していた。


奥さんに悪いと思わなかったことは、


一度たりとない……。


食事の後に、やっぱり誘われるのかな……。


たまには。


Sexなしの……そんなデートでもいいのにと。


何度思ったことだろう。


でも。


今日は。


大丈夫……。


樹ちゃんの勝手知ったる……場所ではないから。


わたしは、樹ちゃんと他愛ないはなしをしながら


そんなことを考えていた。


ビールが運ばれてきたので、乾杯し


一気に、ビールを口に運ぶ。


「あ~、暑いし、昼間のビール、うまいなっ!」


樹ちゃんは、グラスの半分を空けていた。


「飲んでみる?」


樹ちゃんがグラスを渡してきた。


樹ちゃんは、ドイツのビールを頼んでいた。


ごくっ。


一口、飲む。


「んっ!これ、おいしい~!」


「だろ、うまいよな。」


樹ちゃんの、この、屈託のない笑顔が愛しい。


「私のは意外とスモーキーなんですよ。」


今度は、わたしが樹ちゃんにグラスを渡した。


グラスに触れる、樹ちゃんの唇……。


Sexは……する気はなくても、


樹ちゃんの唇には、触れたいと……思った。


「あ、かなりスモーキーだね。」


ビールの感想を離しているうちに、


ソーセージやらサラダやら、


食べ物がどんどんと運ばれてきた。


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