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~ 愛しい人へ ~
第2章 ~ 彼を想う ~
相変わらず、わたしは
彼のことを目で追う日々だった。


ある日。


またPCが空いていなかったので、
上のフロアへ向かった。


「タカちゃ~ん。また、PC?」


わたしの姿を見つけた篠原さんが声をかけた。


「そうなんですよ。」


「じゃ、こっち使ったら?」


篠原さんは、自分のデスクの隣のPCを指さした。


「ありがとうございます。」


わたしは、篠原さんのほうへ向かった。


データを入力しながら、他愛ないおしゃべり。


篠原さんは、
一課の佐々木さんと山本さんが付きあっているんだよ。
とか。
三課の岸部さんの奥さんは美人なんだよ。
とか。


わたしに話した。


誰のことか…わからないな…。


人数が多い上、
なかなか名前と顔を覚えられないわたしは、


困り果てた。


でも、それを悟られないように


相槌を打っていた。


「小野木さん、今年結婚したんだけど、
奥さん、すっごい美人なんだよ。
見る?」


え……、結婚……してるんだ。


左の薬指。
指輪がなかったから……。


篠原さんは、
デスクマットから1枚のはがきを取り出した。


「ドイツの……。」


「ハイデンベルグ城だ。ほら。」


篠原さんから、ハガキが渡された。


ドキドキドキ。


胸が痛い……。


ハガキには、


ウェディングドレスの女性と
タキシードの彼……。


奥さん……キレイ。


「ね、奥さん、美人でしょ。」


「そうですね。背も高くて……。」


そっか……結婚してたんだ。


そうだよね。


仕事、できて。
優しくて、おもしろくて。


彼女はいるかな…と思ったけれど。


結婚……してたんだ。


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