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~ 愛しい人へ ~
第2章 ~ 彼を想う ~
彼、結婚していたんだ…………。


でも。


わたしなんて、最初から
相手にされるわけなかったんだし。


だいたい……、


わたしにも彼氏がいるんだから。


ちょっと恋したかっただけ……。
彼氏とちょっとすれ違いだったから。
そうだよ……。


わたしは、自分に言い聞かせた。


だけど。


仕事に来れば、隣に彼がいる。


仕事も頼まれる…………。


今までと同じように、
わたしは、振る舞っていた。


いつの間にか、


社内では、


「よくあの小野木さんとフツーに
話せるね。」


とか、


「小野木さんに、この仕事、
高村さんから頼んどいてよ。」


と、いうくらいになっていた。


そんなある日、


「これ、今日、片づけられそう?」


彼が、珍しく終業間際に
仕事を頼んできた。


「他に予定ないから、大丈夫ですけど。」


「助かった~。
今日さ、また奥さん体調悪くなってさ。」


わたしは、ただ耳を傾けていた。


「じゃあ、おうちに帰って
ごはん、作られるんですね。」


「まさか!買ってかえんの。」


「たしかに、小野木さんに
エプロン似合わない(笑)」


笑いあって話していたけれど。


愛されている奥さんを
とてもうらやましく思っていた。


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