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引き裂かれたroyaume
第7章 *最終章*失われた希望と、──
ふふっ、と、唇から笑いがこぼれた。こんなに自然にこぼれた笑いは、久しい。
「シャンデルナが、今度こそ東西が友好関係を結ぶための条件として、ある法律を定めるよう要求してきたわ」
「法律……?」
「西の民が東の民に何らかの危害を加えた場合、正当な裁判で罰せられる。また、東の民が西の民に何らかの危害を加えた場合も、正当な裁判で罰せられる。また、何か問題が起きた時は、東西ロイヤル会議で解決する。……それを、東西共通の法律にしたいんですって」
「──……」
「私は、東部に限らず、今後戦をやめようと思う。ちょうど良かったわ。これで、後継者を育てるのに専念出来る。貴女と二人で……新しい王を」
「…──!!」
「何か一つを貫くために、守るために、持ちうるものの一つや二つ、諦める。貴女はそうしろと言ったわね?私は、……王座を手離して、イルヴァのものになる。貴女がいれば、成り上がり貴族だと軽んじられても、メイドが全員辞めていっても、何も……怖くないから」
「オリアーヌ様……」
オリアーヌはイルヴァの片手を持ち上げて、その薬指に口づける。
欲しくて欲しくて仕方なかった。
目の前にある。触れている。あとは掴み取るだけだ。
「私が王ではなくて、ただの女になっても、貴女は私を愛してくれる?」
「はい……貴女を……世界中の誰よりも」
第7章 *最終章*失われた希望と、しがらみ─完─