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片想いの行方
第16章 治らない傷
俺の言葉を聞いて、優香はペットボトルのふたを閉めると

ふっと小さく笑った。


「大丈夫よ。
蓮が隣りにいてくれたから。
ありがとう」

「……そっか」


その笑顔を確認した俺は、自分の水を飲む。

すると、優香が俺の肩にもたれかかってきた。


「……優香?」

「ごめん……やっぱりダメかも。
思い出すと体がドキドキして……怖い……」


俺は優香の肩を抱いて、もうひとつの方で小さな手を握り締めた。


……まだ、無理だ……

優香には、ヒメを近付けたらいけない。


さっきまではあんなに楽しそうにしてたのに

数分会っただけで、すぐにこの不安定な状態に戻る。

ヒメの目は、優香にとっては恐怖でしかないんだ。


………忘れるな。




一発目の花火があがり、周りは歓声に包まれた。


「わぁ……きれいだね……」


隣りで、優香が目をキラキラさせて空を見上げている。

俺もその儚い光に目を向けた。


……この花火を、ヒメと香月も

どこかで一緒に見ているんだよな……
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