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片想いの行方
第53章 彼の心

「あなたが美和ちゃんの先輩ね?
あれ、でも弟の話だと会社で待ってるんじゃなかったっけ?」


麗子さんが聞くと、奈々さんは目をハートにしながら頷いた。


「はい、そのつもりだったんですけど。
彼女が、いてもたってもいられないって」

「……………!」


ロビーのソファから立ち上がった、その人の姿が目に入る。


「私と一緒で。
美和ちゃんの事が、心配で心配で仕方がなかったみたいです」

「…………っ」


学生時代、私の前では泣いた姿を1度も見せなかった彼女が

お腹に手を当てて、目に涙を浮かべて近付いてきた。


「……バカ美和。
もっと早く言いなさいよね」

「………っ アンナ……」


アンナの温かい手が、私の体を包み込む。

もう、私の目が明日腫れることは間違いがなかった。


「……どうしてここに……
お腹の赤ちゃん……」

「もう安定期だから大丈夫なんだってば。
実家から車で迎えに来させて、戻ってきたの」

「…………っ」

「……本当は、もっと早く来なきゃいけなかった。
気付いてあげられなくてごめんね、美和………」



震えるその体を、私も優しく抱きしめる。

……アンナが謝ることじゃないよ……

こうして駆け付けてくれたことが、すごく嬉しいから。

突然の事で驚くばかりだけど

アンナが優しく笑うから、ほっとした気持ちになる。


……ありがとう……


「さっ!害虫駆除も済んだことだし!
終電までまだ時間もあるし、みんなで1杯やる?」


麗子さんがぱんっと手を叩いて言うと

その横をヒメが通り過ぎた。


「俺はいい。先に帰る」
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