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片想いの行方
第56章 恋する姫君
「ヤス!
てめぇも呑気に注文受けてんじゃねーよ。
俺の今月のギャラ無くす気か!」
姉貴と優香が交互に注文するメニューを、淡々とハンディに入力すると
店員のヤスはにっこり笑い、空いたボトルを手に取った。
「ヒメ、お前の出番は明日のクリスマスだろ。
今日は客として来てるんだから、丁重にもてなしてやるよ」
「……………」
「つーかさぁ、奢りの上限があるなんて聞いてないけど~~?」
注文を取り消そうと立ち上がった俺に向かって、姉貴が口を開く。
「家族の中で1番多忙な私が、わざわざこうしてあんたのお礼を受けてやってんのよ?
ケチケチせずに、お召し上がりくださいって言えないの?」
「やめなさいよ麗子」
横から口を挟んだ後、優香は俺に向かって微笑んだ。
「姫宮くん、明日ここで歌うんでしょ?
それなら、今夜は飲まずに喉を休めた方がいいわ。
財布だけ置いて帰って」