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片想いの行方
第56章 恋する姫君
「何うっとり自分に酔いしれてんだよ!
しっかりタカってんじゃねーか!」
正当なツッコミにも動じず、姉貴はしら~っとした顔で俺を見る。
「美和ちゃんにはって話よ。
あんたから礼を受けるのは当然でしょ。
つ~かこのアワビうまっ♡」
「……てめーの資本はその体だってのによく食うな。
スポンサーに見放されても知らねーぞ」
「心配無用。
明日から年明けまでビッチリ撮影だから……」
「ねぇ、少し静かにできない?
美しい生演奏が台無しなんだけど」
俺と姉貴の会話を、優香が冷たい声で止める。
カシュクールのワンピースを着て、首に毛皮を巻いたその姿は
相変わらず姉貴と対象的だった。
「だいたい、こんな聖なる夜に喧嘩してる姉弟なんて、あんたたちくらいよ」