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片想いの行方
第56章 恋する姫君
なんてことを口にするもんなら、間違いなくぶっ飛ばされるから
黙ってバンドの方に目を向けると
「ヒメ、これ。
コート預かった時にポケットから落ちたんだけど」
ふいに後ろからヤスが近付いてきて、テーブルの上にそれを置いた。
…………げっ!!
「なになにー? この小さな箱……
あ!プレゼント!?」
「……このブランドのロゴ……」
手を伸ばしたけど時既に遅し。
姉貴と優香が同じ顔をして俺を見る。
「やっだ~♡
クリスマスに興味ないふりしてるくせに、ちゃんと準備してたんじゃな~い」
「明日のライブにあの子と友達呼んでるんでしょ?
終わったら呼び出して渡すってわけ?」
「なんて言って渡すのよ!
メリークリスマス美和。俺からの10年分の気持ちだ……とか!?」
「10年分にしたら小さいわね。
まぁでも、肝心なのは真剣な想い。
男ならストレートに愛の言葉を言いなさいよ」
「…………」
誰かこの酔っ払い共を黙らせてくれ………