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片想いの行方
第56章 恋する姫君
……本当は昨日のうちに渡すはずだった。
美和の “ 私だけを見て ” という不意打ちをくらった俺は
蓮が気になりつつも、結局美和の言う通り、サラリーマンだらけの居酒屋に入った。
美和は酒に強くはないけど、酔っ払うとすげー喋るし、何よりもよく笑うから
……その笑顔に即ノックアウトされた俺。
すぐにでも持ち帰って、美和をこの手に入れたかった。
……だけど……
……………………………………………………
『美和、もう店出るぞ。ほら、ちゃんと立てよ』
『ヒメ、ここ美味しかったね。
最後に食べたやつ……ぼんぼり?』
『……“ ぼんじり ” だろ。
そんなフラつくまで飲むなって。
帰れないなら俺のとこに連れてくぞ』
『ねぇヒメ、楽しかった?』
『は?』
『私、ちゃんとヒメにお礼できた?』