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片想いの行方
第56章 恋する姫君
………演奏の曲調が変わった。
さっきまで賑やかだった店内に静けさが戻り、バラードに包まれ、その音色が響き渡る。
暫くの間、窓の外の東京タワーを眺めていた優香が、ゆっくりと口を開いた。
「いつまでもチャラ男演じてないで。
モタモタせずに、さっさと告白しなさいよ」
………できるならとっくにそうしてる。
だけど
「そうしたいけどうまくいかねぇんだよ。
……お前の元彼が、相変わらずおいしい所ばかりもっていきやがるから」
「……蓮が?」
優香が続けて何か言う前に、姉貴がケラケラと笑い出す。
「へぇ~~いまだにあんた蓮くんにトラウマ抱えてるの?
ウケるわ~」
「…………」
外国人のボーカルが、切ないメロディーにのせて聴かせてるっていうのに
この女にはムードもへったくれもないようだ。