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片想いの行方
第62章 過去と未来

………俺も、美和も

恋人同士だったあの頃の記憶が、強く残っている。

その時の楽しかった思い出がひとつひとつ残っていて

お互いじゃなきゃ駄目だと、どこかで決めつけていたのかもしれない。


だけど、それは “ 過去 ” でしかない。

次の一歩を踏み出す為には、もっと大事な事がある。



……ヒメは、見据えていたんだ。


美和の “ 今 ” を見定めて


彼女を “ 未来 ” へと導いた。


心に抱いた自分の本心を抑えて


相手の幸せを願う真実の想い。


彼女の想いを汲み取り、それを行動に移せたヒメ


美和が1番必要とした時に傍にいられず、自分の本心を貫いた俺


この徹底的な違いこそが、美和がヒメを選んだ理由なんだ。




「………負けたよ」



美和を体から離して、ふっと笑った。


仕事でも、女でも、向かうところ敵無しな俺でも


ヒメにだけは何度も敗北感を味合わされてきた。


だけど、これ程清々しく負けを認めたことはない。



「美和。

俺はもう、心残りないよ。

自分が惚れた女が、バカで優しい親友と付き合うんだ。

………最高だよ」
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