この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
片想いの行方
第63章 2人の蓮
「……何度もメールと電話したのに。
どこにいたの?」
美和は体をガタガタと震わせながら、俺を見上げる。
うっすらと付いた雪で、髪が濡れている。
「……どこって……」
「あと少し遅かったら、BARまで行こうかと思ってたの」
「……なんでお前、ここに……」
まだ状況が飲みこめない俺に、美和は静かに口を開いた。
「……ヒメを待ってたの」
「………!」
「いつまででも、待ってるつもりだったんだけど。
……とにかく、帰ってきてくれてよかった」
美和の頬が赤く染まっていて
俺は放心したまま、その顔を見つめる。
「……蓮は……?」
「……蓮くんは、仕事でニューヨークに行ったよ。
夕方に、羽田まで見送りに行ってきたの」
「…………!」
………なんだ。
そーいうことか。
「それで?
もう寂しくなったってわけ?」
俺はやっと心を落ち着かせて、いつもの口調に戻す。
「残念ながら、年内の相談窓口は終了だ」
「………!」
「来年から受付開始するから、今日は帰ってくれ。
………送るから」