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第10章 協力する理由

「……そうですか……」


……だめだよ、美和。

溢れそうになる涙を、ぐっと堪える。

もう少しの我慢だ。


「こ、こんなにかっこいい蓮くんの彼女さんが羨ましいです！」

「………！」

「あたしも頑張らなきゃっ。
って、その前にまずはアンナと仲直りしに行かなきゃだ！」


あたしは１人でベラベラ喋って、芝生から立ち上がった。


「あたし今からアンナの所に行って謝って、一緒に見てきます！
なので、蓮くんもみんなの場所に戻ってくださいっ」


わざと大きい声で、明るく、元気良く。

そんなあたしを見て、蓮くんもゆっくり立ち上がった。


「そっか ……分かった。頑張れよ」

「はいっ！」




蓮くんは微笑むと、広場の中心に向かって歩き出して

その姿を見てから、あたしは違う方向に歩き出す……ふりをした。

……数メートル進んだだけで、その場に立ち尽くす。


「………っ」


抑えていた感情が、一気に溢れ出した。

だけど、もうすぐ予定の時刻を迎えるこの場所は、とても静かで。

膝丈までの草原に身を隠すように、あたしはしゃがみ込んだ。


「…ふ……う……っ」


涙が……止まらない……