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異常性愛
第28章 媒介
『ね、お母さんに電話してあげようよ。』
『あ、そうだな。喜ぶぞぉ。』
『後で変わってね。
お婆ちゃんの声も聞きたいし。』
『アキ、ありがとな。』
『こちらこそ、ダーリン。』
真冬の暖かい寝室で晶子を抱きしめ、私たちは長い間、唇を重ねた。
その後、私たちは沸かし直した風呂に二人で入り、ギュウギュウ詰めの浴槽で、子供の名前や将来の夢を語り合った。
自分たちの描く将来に、もう一人の仲間が増える。
子を抱き、遊ばせる、母となった晶子を想像すると私の中にふつふつと喜びが湧いた。
田舎の母に電話で晶子の懐妊を知らせると、母は電話口で泣いてしまい、話が進まなかった。
三十年近く我が子に逢えない生活をしていた母にも、新しい命は新しい絆だ。
母にとってこれほど喜ばしいことはないだろう。
私の幸せは私だけのものではない。
私達夫婦が幸せでいることが、私が愛する母の幸福でもある。