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異常性愛
第29章 相克
美人秘書に誘導され、執務室に通された。
亭主は立派な革張りのハイバックチェアに座ったまま、笑顔で手を上げ私を迎えた。
『お、来たか。ま、かけて。』
『すみません、突然お邪魔して。』
『構わんよ。』
多くの書類に囲まれ急がしそうに仕事をする亭主は、私に目を合わさずソファを薦めたが、私は立ったまま話を続けた。
『先日は御馳走になりました。』
『で、本契約書は?持ってきたのか?』
『いえ、そういうことではないです。』
『ほう、じゃなんだ?』
『私が工事を請けることはできません。』
『うぅん、なぜだ?
真美はキミを指名してる。
キミがやるべきだろ。』
『子を授かりました。』
私がここに来る事までは予想できていたであろう亭主は、私の言葉に書類をめくる手を止め、鼻先に掛けた眼鏡をずらして私を見た。
その目に理不尽な妬みを感じる。