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第29章 相克

　　　
少し私を睨んだ後、亭主は口を開いた。

『ほう、それはめでたい。
　祝いは何がいい？』

『いえ、必要ありません。
　先生とのご縁を終わらせに来ました。』

『ほっほほ、淋しいこと言うじゃないか。』

『私は真美ちゃんを抱けませんでした。
　そのときに答えは出ています。』

『調子が悪かったんだよ、気にするな。』

『違います。
　この先、何年かかっても
　真美ちゃんを抱けません。』

『そりゃ、真美が可愛そうだな。ほほほ。』

『先生が真美ちゃんを
　可愛がればいいことでしょう。
　私がやることじゃない。』

『それができれば苦労はないさ。
　だからキミにお願いしたんだ。』

『それなら、他の男をあたって下さい。
　新居の内装も他で出来ますよ。』