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異常性愛
第29章 相克
『寒かったろ。
これ、あったかいよ。はい。』
私に抱きしめられると思っていたのだろう。
真美は拍子抜けしたような微妙な笑顔でコーヒーを受取ると、袋の中からカップをひとつ取り出し、先に私に持たせた。
『そこ、かけよう。』
私達はベンチに腰掛け、二人でコーヒーをすすった。
弱い風が吹くたびにカサカサと音を立て、茶色い葉が舞い落ちた。
『どう?』
『あったかい。おいしいです。』
『寒いのに呼び出して悪いね。』
『いいえ。
電話があってホッとしました。』
『金曜はごめんね。
あんなことで・・・。』
真美は小さく首を振り、カップを見つめた。
裸で抱き合っていた男が、セックスの途中で勃起したまま自分の前から去ったのだ。
真美の気持ちは傷ついて当然だ。