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異常性愛
第30章 潤む瞳
翌朝、夕飯の用意は要らないと晶子に伝え、玄関にまとめてあったゴミ袋を掴んで立ち上がった。
晶子は眼を丸くした。
『あら、ゴミ出してくれるの?』
『え?ああ、ほんとだ。
まぁ、出しとくよ。』
『へぇ、頼れるぅ。ふふっ。』
そう言えば、私はいつもこのゴミ袋を跨いで家を出ていた。
無意識とはいえ一度掴んで立ち上がったものを置くわけにもいかず、両手が塞がったままモゾモゾとドアレバーに指先をかけ、少し開いた玄関ドアを尻で押し開けた。
慣れない私の仕草を見て、晶子はニッコリと笑う。
『とってもハンサムよ、パパ。』
『なんだそれ、行ってくるよ。』
『あ、あなた。』
『なに?』
『大好きよ。ちゅっ。』
わざわざ呼び止めて私の頬にキスした晶子。
首を傾け、私に微笑む。
¨あなたが帰るのはここだ¨
そう言っているようだった。