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異常性愛
第30章 潤む瞳
あまり見慣れない若い女子社員が微笑んでいる。
艶々と黒髪が美しい可愛い女の子だ。
首に巻いたマフラーの白さが、黒髪を一層際立たせていた。
満員電車の熱気で、頬と目の周りを赤くして少し息を切らせている。
私の歩く早さに付いて来るのが精一杯のようだ。
『あ、大輔さん、
前言ってた子です。
大輔さんに奥さん居るかって
聞いてきた新人。』
『ああ、どうも。』
『おはようございますっ。
サイカといいます。』
『サイカ?名前?』
『姓です。雑に賀正の賀で、
雑賀です。』
『ああ、鉄砲の?和歌山?』
『そうですっ。
よく御存知ですね。
田舎 和歌山なんです。』
戦国時代に名を轟かせた鉄砲集団に雑賀衆というのが和歌山にあった。
その末裔だろう。