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異常性愛
第30章 潤む瞳
『お好きなんですか?
戦国ものとか。』
『いや、聞いたことあるだけで。
知ったかぶっちゃったね。はは。』
期待が外れ、微妙な笑顔で首を傾けたサイカを、先輩のチアキが優しくたしなめた。
『そんなグイグイいかないの。ふふっ。』
『そんなじゃないですっ。』
照れ隠しなのかサイカは顔を背けた。
からかうようにサイカをつつき、チアキは私を見て笑った。
『ね、可愛いでしょ?』
『ああ、ねぇ。うん。』
『可愛がってやってくださいね。』
『はいはい。
あ、俺 ちょっとコンビニ寄ってくわ。』
『はぁい、じゃ、また後で。』
地表に出た所で別れ、私は用の無いコンビニに向かった。
あのまま三人でエレベーターに乗って事務所まで行くことが、私には耐えがたい苦痛だった。
こちらが気を使わなければいけない人間関係をこれ以上 増やしたくない。
どうもあの年代は男女共に苦手だ。
真美のおかげで、若い女性に対してネガティブな印象が私に刷り込まれている。