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異常性愛
第30章 潤む瞳
『うぅーん、迎えに来てくれるなんてっ。』
『あぁ、おかえり。お疲れさん。』
しがみ付く優子を抱きしめることができない。
優子の背中をポンポンと叩き、スーツケースの取っ手を掴んだ。
『腹減ったろ、メシいこ。』
『うんっ。』
嬉しそうな優子の返事が私の胃を締め上げる。
私が優子を迎えるのはこれが初めてだった。
どの待ち合わせ場所にも優子が先に到着していて、優子の車に私が乗り込み、ホテルに直行していた。
クリスマスで賑わう華やかに飾られた空港のロビーで、愛する私に迎えられ、いつもとは違うデートコースに期待を膨らませる優子は、声を弾ませ私の腕を掴んで歩く。
今この時が、優子にとって最高に幸せな時間なのだろう。
私もそうだった。
待ち合わせ場所で、運転席から私を覗きこむ優子の笑顔が、大好きだった。
私は優子を突き落とさねばならない。
愛しているのに。