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異常性愛
第30章 潤む瞳
店員が数種類の肉を事細かに説明し、焼き方を丁寧に伝授してくれる。
今の幸せな気分を店員に伝えたいのか、優子は嬉しそうに店員と微笑み合い、最後まで笑顔で説明を聞いていた。
私の気分は晴れない。
部屋から店員が退き、襖を閉めた。
『さ、食べよう。』
『いただきまぁす。』
言われたとおりに肉を炙り、塩で食べる。
肉は旨いのだが、味わえる気分ではなかった。
『おいしっ!
ちょっとディー何これ!
おいしっ。』
『だろ?さ、食え。』
『全部食べちゃうよ。』
『ああ、食べたいだけ食べよう。』
『あぁん、幸せっ。』
大げさに喜ぶ優子に、私は涙腺を刺激され、頬の奥が痛んだ。