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異常性愛
第30章 潤む瞳
優子は本社での会議で転勤が決まりそうだと話した。
出世への階段を順調に上っているようだった。
今までのように頻繁に逢えなくなると優子は嘆いているが、私の持ち込む話はそんなものではない。
優子の話を聞きながら、私は肉を焼くことに徹していた。
パチパチと音を立てて煙を上げる柔らかい肉を、店員に教わったとおりのタイミングで裏返し、最高に旨い状態で優子の皿に置いていく。
今、私に出来ることは他に無い。
----(旨いもの食おう。な、優子。)
決していい夜にはならない。
そんなことは解っている。
でも、旨いものを食わせよう。
肉ぐらい私にも焼いてやれる。
思考は停滞し、私は心の中でそれを繰り返していた。