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異常性愛
第31章 羽化
山茶花の葉をちぎり、立ち止まった優子が私に顔を向けた。
『ねぇ、ディー。
飛行機見ない?』
沈黙を破る優子の一言に救われ、ホッとした。
『それ。行こう。』
『手 繋いでいいかな?』
遠慮気味に私に訊ねる優子。
憂いを含んだその笑顔が、私の心を凍らせる。
『聞くなよ、そんなこと。』
たまらず優子の手をとった。
繋いだ手を引き寄せると、優子は少しよろめいて私の身体に肩をぶつけ、顔を背けた。
プンと優子が香る。
気持ちに不自然な距離をとり、私に気兼ねする優子。
----抱きしめたい・・・。
そんな衝動をどうにか抑え、小さな冷たい手を握りボチボチと歩を進めた。