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異常性愛
第31章 羽化
愛する女との別れ方なんて私は知らない。
どうせ器用なことなどできはしない。
何も話さないのならそれでいい。
思いのままでいい。
優子の気持ちに任せよう。
私の決心は優子に伝えた。
何があってもそれを変えることはできないのだから。
足元を見て歩いていた優子が、顔を上げて話しかけてくれた。
巨大なネオンサインの原色の逆光線が、優子の横顔を明暗に分け、額から鼻筋を明るく縁取っていた。
『ねぇ、展望デッキ知ってる?』
『知ってる。昔よく行った。』
『彼女と?』
『男同士じゃ行かないよ。』
『そうよね。ふふっ。』
『ずっと昔だよ。』
『あたしも。彼氏と来たことある。』
『最近?』
『ずぅっと前。』
『みんな来るんだな。』
『恋人同士みたいね、あたし達 。』
『・・・そうだな。』