この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異常性愛
第31章 羽化
少し前まで恋人同士だった。
別れを告げたのに、私の気持ちは優子を離せずにいた。
恐らく優子も今の私の心境を解っているだろう。
私達は誰よりも通じ合い、今このときも互いを労わり合っている。
複雑な優子の心境がひしひしと伝わってくる。
優子は自分の気持ちとは裏腹に、私の決心を捻じ曲げないよう気遣ってくれている。
愛し合ったまま別れを決め、免れぬ痛みに備えている。
それが今の私と優子だった。
ふと思う。
このまま優子を連れてどこかに逃げることが出来ないだろうか。
悪を貫き通し、晶子も腹の子も捨て、優子と二人 愛し合い生きていくことが出来るのではないか。
優子にとって¨善¨であれば、それだけで私に生きる価値があるのではないか。
優子の為に生きることは間違いなのだろうか。
一切の柵(しがらみ)を払えば、私の最愛は優子ではないのだろうか。