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異常性愛
第31章 羽化
真っ暗になった車内で優子を抱き寄せ、唇を吸った。
荒々しいキスだった。
『ディー、ごめん・・。』
『謝るな。』
優子の手を引いて、駐車スペースから伸びる専用階段を駆け上がる。
ドアを開けると、薄暗く下品な色の照明が短い廊下の床に鈍く反射し、いわゆるエロティックなムードを演出していた。
畳半分ほどの狭い入口で、私達はぶつかるように抱き合い、唇を貪りあった。
優子の激しい呼吸に引き摺られ、私は優子に舌を差し込み、優子は私の舌を吸う。
荒々しい息遣いと呻き声が狭い廊下に響いた。
----(愛してる、好きだ・・)
----(ディーが好き・・)
心が通う。
手に取るように優子の想いが解る。
互いの背に圧し掛かる切迫感を払い除けるように、手が届く体の全てをまさぐり合った。
迫り来る終焉に追い詰められ、焦り、急ぎ、互いを求め合いキスをした。
それは行き場を失った私と優子の、最後の抵抗だった。