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異常性愛
第31章 羽化
----ポーーーン
チャイムと共に薄暗い廊下の壁がボウッと光った。
《ゴリヨォノ、サイワァ、
マエウケキンヲ、
オシハライ、クダサイ。
シヘェヲ、オイレ、クダサイ。》
壁に埋め込まれた精算機が、男女の区別がつかない音声で不躾に室料の支払を求めた。
優子を抱いて唇に吸い付いたまま、ジャケットの内ポケットから出した財布を片手で開き、紙幣を摘んで財布を振り落とした。
どうしても唇を離すことができず、靴を履いたまま廊下に上がり、身体を壁にぶつけながら手探りで紙幣を差し入れ、精算機に礼を言わせ黙らせると、そのままベッドに傾(なだ)れこみ、火がついたように唇を求め合った。
片時も優子を離したくなかった。