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異常性愛
第31章 羽化
二人で映画を観たり、音楽を聴いたり、散歩に出かけ季節の移ろいを感じ、週末は少し遠出して食事に出かけたりした。
日に日に膨らむお腹を抱え、大儀そうに家事をこなし、相変わらず平穏な日常を私に提供してくれる晶子の愛情に、私は救われた。
何でもない¨日常¨を当たり前に迎えられる幸せ。
明日もあさっても、その次も同じように私達に訪れると信じられる幸せ。
幼い頃に突然奪われた、ごく普通の小さな幸せの尊さに、私は気付くことができた。
そしてそれを気付かせてくれたのは、晶子だった。
晶子が私に拵え届けてくれる愛情は、決して大きなものではない。
だが、日々絶え間なく私に届く、何の変哲も無い小さな愛情が、いつしか私に未来を信じさせ、希望を持たせてくれた。
継続する小さな愛情。
これほど尊く、力強いものはない。