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異常性愛
第5章 甘い罠
玄関の方から日常的な生活音が私の耳に届いた。
亭主の声も聞こえる。
鍵を置き、うがいをする水の音が遠くに聞こえる。
ほどなくしてリビングに現れた亭主を、板の隙間から目視した。
私は緊張していた。
亭主がこの扉を開ければ一巻の終わりである。
手探りで胸ポケットの携帯電話の電源を切り、息を殺して気配を消すことに集中した。
リビングでは他愛のない夫婦の会話が続いていたが、テレビの音が邪魔ではっきり聞こえない。
その会話の中で、私が10時前に来ることと、カーテンの色がまだ決まらないことが辛うじて聞き取れた。
私はあと30分ほど、ここにいなければいけないようだった。