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異常性愛
第6章 慕情 ―affection―
髪を流し顔を洗った。
傍らでタオルを胸に抱えた涼子がボーっと立っている。
たまらず涼子を抱きしめた。
『言えなくて・・・ごめんな。』
『わかってる・・・。』
涼子は頷くとグスッと鼻をすすった。
『旦那さん、
目覚める前に、出るよ。』
手早く髪を拭き、身支度を整えた。
涼子は項垂れたまま洗面所の扉にもたれている。
ネクタイを直しながら『だいじょうぶかい?』と声をかけた。
涼子は下を向いたまま頷き、私の足をチョンと蹴った。
『あなたを・・・
スキにならせないでよ・・・。』
そういい残し、涼子は洗面所を出ていった。
私は感情を押し殺し、自分に言い聞かせた。
今追えば取り返しが付かなくなる。
よくわからないモヤついた感情をハッキリさせることが、私たちの行き場を失わせることになりそうな気がした。
-----(とにかく今はここを出よう。)
それだけを考え、リビングに向かった。