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異常性愛
第7章 招待
最悪の事態を想像し、ハンドルを握る涼子の白い手を見つめていた。
《怯えているようだな。》
『ええ・・まぁ・・・。』
《心配するな。キミが思うようなことにはせん。》
『え・・あ・・でも・・・。』
頭を廻そうとするが状況の整理すらできない。
内臓を締められるような苦しさと、強烈な鼓動が思考を邪魔する。
会話の空白を埋めようと言葉を搾り出した。
『どういった、いや・・なんでしょうか?』
《なんでしょうかだと?
ハハハ・・・なんだと思うね?》
『わかりません。』
《キミを傷めるつもりはない。
もちろん涼子もだ。私の妻だしな。》
裏付けのない亭主の言葉に、私はなぜか安堵した。
《キミに頼みがある。》
『あ、・・・・え?それは・・・。』
涼子と別れる時がきた・・・。
亭主の言葉を先読みしていた。
金輪際会わないという約束と引き換えに、今までの不貞を見逃そう、と言いたいのだろう。
亭主にとっても、妻の不貞で離婚や裁判になれば出世にひびく。
穏便に済ませるのが得策であるはずだ。