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異常性愛
第8章 掌
狭く薄暗い台所で晶子は椅子に腰掛け、友人と携帯メールのやり取りを続けた。
女子高生の他愛もない内容は、明日になれば忘れてしまう取るに足らないものだが、それでも唯一、晶子が心休まる時間だった。
風が強まっていた。
建付けの悪いガラス戸がガタガタと音をたて、ホラー映画のような不気味なすきま風が鳴りはじめた。
メールの返信の途中だったが、晶子は母に頼まれた洗濯物が気になり、物干しに繋がる勝手口に目を向けた。
外は薄暗く、いつ雨が降りだしてもおかしくない様子だった。
洗濯物を取り込もうと立ち上がり、ドアノブに手をかけようとしたとき、
ぐるっとノブが回り、扉が開いた。