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異常性愛
第8章 掌
そこには俯いた初老の男が立っていた。
『うわっ!』
驚きのあまり晶子は飛び上がった。
『おお、あきちゃん、わしじゃ。』
晶子の叔父だった。
雨合羽を羽織り、満面の笑みを浮かべていた。
携えた紙袋を持ち上げ得意げな顔で口を開く。
『びっくりさせたか?すまんすまん。おばさんが持って行けと言うんでな。』
『ああ、そうなの。もう・・驚いたよ。』
『ええか?』
晶子の返事を待たず、叔父は勝手口に靴を脱ぎ、台所に上がりこんだ。
『どうだ、あきちゃん。走り。頑張ってるか?』
『うん、まぁね。』
『おおそうか。あきちゃんが頑張らんとな。みな期待しとる。』
叔父は雨合羽を脱ぎ、パンと払うと背もたれに引っ掛けた。