この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異常性愛
第9章 正義の味方
『あの、他にご家族の方は?』
『今日は妻が、あっと、私の妻がきます。患者の姪です。』
『奥様以外には・・・。』
『あぁ何も聞いてないですね。だれか来るのかな。』
『あ、結構です。ただ、ご親族の方であれば・・・。』
『もう、会っておいたほうがいいということですね。』
『はい。先生が説明されたと思いますが。』
外部に対しても医師を尊敬語で扱うこの業種に、いつも違和感を持ってしまう。
内部のヒエラルキーを外部の私たちに強要されているようで、私はそれが好かなかった。
『わかりました皆に伝えます。気を使わせましたね、すみません。』
『あ、いえ。では何かあればそちらのボタンで・・・。』
『はい、どうもありがとうございます。』
看護師が病室から出て行き、私は叔父をじっくりと見た。
悪い夢を見ているのか、鎮痛作用が弱くなってきたのか、眉間にシワを寄せ、傷とシミだらけの顔を歪ませて眠っている。