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異常性愛
第9章 正義の味方
私に火をつけ、滾(たぎ)らせたのは¨十七歳の晶子¨との同胞意識だった。
幼い頃に母に捨てられた私は、ある日突然、日常を奪われた。
誰が何の権利で、幸福だった幼い私の日常を理不尽に強奪するのか。
その一点が疑問だった。
たが幼くして私は、それが人間のルールなのだと気付いた。
圧倒的な権威は、暴力的に、容赦なく弱者から奪う。
その理不尽に被る精神的苦痛を、弱者は癒す術を持たない。
そして絶対的な強者を中心に世界は回り、弱者を弾き飛ばす。
ならば肉体的にも精神的にも頑強な私が強者として、病を抱え死を直前にした弱者である叔父を痛めつけるのも人間のルールなのだ。
かつて叔父が強者として晶子を踏み躙ったように、人の社会には六大法典に記載されない、だが厳然たるルールがあるということだ。
むろん私に罪の意識はなかった。
叔父も私も、そのルールに則っただけだ。