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異常性愛
第10章 底流
数日前に涼子の亭主から連絡があった。
二連泊の学会で例の催事がある。そこに顔を出せということだった。
あの日、涼子の亭主に約束をさせられた私は、既に腹をくくり、ちょっとした期待すら心に芽生えていた。
晶子には職場の研修だと嘘をつき、叔父の四十九日法要を欠席してここへ来ている。
『失礼します。』
私の前に上背のある男が直立した。
その男は上品な立ち姿で、このホテルの支配人だと名乗り、私に名刺を要求した。
支配人に名刺を差し出すと、名刺は受け取らず丁寧に頭を下げた。
『ようこそいらっしゃいました。お部屋へご案内いたします。』
つけたばかりのタバコを灰皿に潰し、立ち上がった。