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異常性愛
第10章 底流
『こちらでございます。』
支配人は私の鞄を持ち、エレベーターに向かう。
直々に支配人に出迎えられ案内される私を、周囲の宿泊客は有名人と勘違いしているのか、ちらちらと私を盗み見ている。
刺すような視線から逃げるようにエレベーターに乗り込み、支配人に尋ねた。
『先生はこちらによくいらっしゃるんですか?』
『はい、贔屓にしていただいております。』
慎んだ態度で答える支配人に、鎌をかけた。
『今日は何人ぐらい いらしてるんでしょう?』
『お客様を含めますと六名様でございます。』
『内訳は?』
『女性がお二人お見えのようです。』
支配人は下を向き、コホンと咳ばらいをした。
詳しく聞かれたくないようだ。
この支配人も亭主らの不埒な遊びを知っているようだった。