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異常性愛
第10章 底流
学会のたびに医師会の連中が利用するとなれば、ホテルのステータスもあがる。
医師会の権威と幾ばくかの端金で、ホテル支配人を抱き込むことなど、亭主らにとって朝飯前のことだろう。
最上階に着き、短い廊下を左に曲がると、両側に四室と突き当たりにドアがあり、私は手前の部屋に通された。
『こちらでございます。』
ドアを開けてカードキーを私に手渡し、支配人は説明を続ける。
『先ほど左に折れました所からこちらは、全て医師会様でご利用いただいております。』
『そうですか。わかりました。』
『では、ごゆっくりお楽しみくださいませ。』
支配人は廊下を曲がると、壁際の衝立(ついたて)を曲がり角に移動させ、他の宿泊客の立ち入りを制限した。
----(よく躾けられてやがる。)
ネクタイを緩め、タバコに火をつけた。
このホテルでも特別上等な部屋なのだろう。
バルコニーの先に見える景色は雄大で、湖畔の木々の緑が深く湖に映り込み、絵葉書のように贅沢で見事な眺望だった。