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異常性愛
第10章 底流


濯いだ水を洗面ボウルに吐き、歯を磨き終えた後、大きな鏡の前で胸を張り大胸筋をヒクつかせた。
ポパイのように腕を曲げ、全身の筋肉を浮かび上がらせ悦に入る。
私の風呂上りのルーティンだ。

学生時代に夢中になったサッカーで手に入れた肉体は、ボディビルダーのそれには及ばないものの、六つに割れた腹筋は同年代のビール腹を嘲笑できるものではある。

若くして腹の出た男が、自分に優位なセックスはできない。
私の人格における劣等感と尽きない性欲が、小まめにジムに通う気力を支えている。
人生の第一義にセックスを奉る私にとって、思いのままに動き、耐久性に優れた肉体を維持することは目下の最優先事項のひとつだ。

誇らしげに鏡の前で仁王立ちになると、ブリーフの中の陰茎に血液が集まる感覚を覚えた。



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