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異常性愛
第11章 アフロディーテの慟哭
私はカウンターの端で肘をつき、酒を含んだ。
『幸せってなんだろうな・・・。』
『・・・・・なんだろう。』
グラスを廻し、涼子は考えを巡らせるような目つきで上を向く。
私はタバコに火をつけ、ひとつ煙を吐いて涼子に聞いた。
『旦那さんと一緒になって見つかったかい?』
『わからない・・・。子供達・・・かな。あなたは?』
『俺は女を抱ければそれでいい。幸せなことだ。さっきまではそうだった。』
『さっきまで?』
涼子は首をかしげ、視線を私に移した。
美しい女だ。
もっと早く出会えていれば素直に愛せた。
改めて、そう思った。
『涼子が好きだって、思ったんだ。』
一瞬眼に精彩を戻し、涼子はその眼で私をじっと見ている。
黒い大きな瞳にバスローブ姿の私が映っていた。