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異常性愛
第11章 アフロディーテの慟哭
『こんなに・・・優しい人だったのね。』
私は首を振った。
『涼子だよ・・。優しいのは。』
睫毛を伏せる涼子。
その美しい肌は、閉じた瞼の血管を透かせている。
『言えないことも・・・。』
言葉を捜しながら涼子は微笑む。
私は後の言葉を待った。
『言えないこともたくさんあるけど・・・
娘が年頃になったら、あなたとのこと話したい・・・。』
『悪い見本になるよ。』
気のきかない私のセリフに涼子は首を振る。
『ママは愛せる人と出会えたのって・・・。その人もママを好きだって・・・言ってくれたよって。大事におもって・・・くれたって・・・』
涼子は嗚咽し、言葉を切らせた。
私には涼子にかける言葉は残っていなかった。
涙を拭き、鼻をすすりながら涼子は笑う。
『えへっ・・また・・逢えたらいいね。』
『そうだな・・。』
『おばぁちゃんになっても、きれいにして待ってる。』
『はは、俺も長生きしなきゃな。』
『お大事に。』
せがまれるまま、涼子に何度もキスした。
私は惜しみなく涼子に愛を囁き、
涼子は若い娘のように眼を輝かせ、私の愛に蕩けた。