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異常性愛
第12章 独裁者の嘆き
部屋に残ったものの、向こうの様子が気になって仕方ない。
だが何かを決心して連中の元に向かった涼子を思うと、情動のままに私が動くことが、涼子の決意に水を差すような気がしていた。
悶々とした時間が流れる。
時計の針は一向に進まない。
気を紛らわそうと浴槽に浸かった。
窓の向こうの夜空はしつこいほど真っ暗で、時を止める大きな力が働いているようにも思えた。
亭主との会話に何があったのだろう。
交換条件のようなものをぶら下げられたのか。
もはや涼子も金で動くようなことはないはずだ。
子供か?
子供に何か不利益がおよぶのか・・・。
いくらあの亭主でも、子を思う気持ちは世間のものと同じだろう。
しかし今夜の私の推理はことごとく外れている。
いくら憶測を巡らせたとしても、自分の考えが及ぶような相手ではない。
海千山千の亭主や開業医には、私などまだまだ至らぬ若造だということだ。