この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
異常性愛
第12章 独裁者の嘆き
うおおぉっ!と叫んで私に殴りかかる長谷川。
私は長谷川の喉を掴み、突っ込んできた勢いそのままに身体を回し、廊下の壁に押し付けた。
壁がドンっと鳴り、壁材がたわむ。
私は長谷川を壁に貼り付け、喉を押さえ込んだ。
ふぐのように顔を脹らませて苦しむ長谷川の額に、私の額をゴンとぶつけた。
ギリギリと額を擦り付け、長谷川を睨み上げた。
『つまんねぇモン振りかざすんじゃねえよ。雑魚が。』
嫉妬だけではない、別の怒りが込み上げていた。
既にカタはついていたが、私はさらに喉を絞めてやった。
私の手首を掴み、顔を真っ赤に染めて長谷川はもがく。
『おい、それぐらいにしてやってくれ。死んじまう。』
私の肩に手をかけたのは亭主だった。
ハッと我に返って手を緩めると、長谷川は壁をずり落ちてその場にヘタりこんだ。
咳き込み、えずく長谷川を亭主は蹴り上げた。
うめき声を上げて怯む長谷川に、亭主は優しく声をかける。
『長谷川君、彼は私が招待したゲストだよ。無礼はいけないな。』
『も、申し訳ありません!先生!』
土下座する長谷川に、この場を立ちさるよう、亭主は無言で道を空けた。
長谷川は腰を屈めたまま、逃げるように広間の方へ消えた。